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2016年08月28日

オープンサイト2016-2017 公募プログラム審査員による講評



世界が、そして日本がこのような状況の中で、"アーティスト"たちは今、一体何をしようとしているのだろうか。ぼく自身の問題でもある、そのような「危機感」を持って応募された多くの作品プランと対峙した。そしてこのような意識は今回、審査に臨んだぼくだけのものではなかったと思う。もはや芸術における「ジャンルの違い」など些細なことであり、「アート」で浮世の人々を驚かせたり和ませたりすることなどどうでも良いことだ。今求められているものは未来に向けた彼らの、真に孤独で知的な活動/挑戦に他ならない。結果として見かけは「地味」なものが多かったかもしれないが、世界の中の東京で今、紹介されるべき「作品」の多くが選ばれたとぼくは信じている。

三輪眞弘
[作曲家、メディアアーティスト、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]教授]



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より開かれたジャンルへ機会を提供しようとする企画公募プログラムとして、美術、音楽、パフォーマンス、さらにはレクチャーやワークショップまで、広範囲の企画へと門戸を開いたものとなった。その分、審査は非常にむずかしいものとなった。それは、それぞれ個別のジャンルにおいて、なにがアクチュアルな表現であるかということ、どのように判断基準を設けるかも異なるということに起因するかもしれない。しかし、表現者としての自身がおかれている社会的状況、東京という場所との関係において考えられた発表意図、ジャンルの持つ現在的な問題意識、といったものに明確な企画意図を感じられるものを推した。

畠中 実
[NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]主任学芸員]



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形式という枠組みを取り除いたことで、今回問われることになったのは、審査される側だけでなく審査する側でもあったように感じている。特定のアート・フォームや、活動形態のなかだけで通用してきた種々の言語、いわばジャーゴンが、果たして領域を措定するものを取り除いた地平においても成立するものなのかどうか。審査される側はそれを乗り越える説得力を持つように努めなくてはならないし、審査する側はときにそれに拘束され、ときに無批判に酔いしれてきた自身と向き合わなくてはならないことになる。こうした試みはまだこの国では端緒についたばかりだし、決して十分ではない。そしてもちろん、そのアウトプットについても経験は浅い......。

杉田 敦
[美術評論家、女子美術大学教授]



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トーキョーワンダーサイトが作り続けてきたのは、「パブリックなすきま」と言えるかもしれない。形式や様式、前例や慣習にとらわれるのではなく、新しい挑戦を支援したいと活動を続けてきた。そのオルタナティブな方向性を行政の文化政策の中に取り込むことで、多様な創造活動の可能性を確保してゆくことが重要であると考えたからだ。数々の新しい才能や活動を発掘してきたトーキョー・エクスペリメンタル・フェスティバルも展覧会企画公募も見直されることとなり、その表現の可能性の場所を別な形で確保しようとしたのがオープンサイトである。これまでのTWSの活動を通して、多くのアーティストたちが実験の場所を求めてきた。審査員はその思いに真摯に耳を傾け、応募者のなかからアクチュアルで、私たち、そして今の社会にとってリアルなものを選ぶことに努めた。この「すきま」でしか味わえない何かの始まりを感じられればと思う。

今村有策
[トーキョーワンダーサイト館長]



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オープンサイトは、これまでのトーキョーワンダーサイトの公募プログラムの枠組みから、より領域横断的な企画を公募するプログラムで、初回にもかかわらず250件を越える応募があり、海外からの応募が3分の2となった。これは、展覧会企画を公募し、開催までを支援した「展覧会企画公募」と、音楽やサウンドをテーマに、何らかの実験的な取り組みがある公演・展示企画を選出した「トーキョー・エクスペリメンタル・フェスティバル」が、それぞれ9回、10回と回を重ね、その認知度を高めていた証左ともいえる。今回の審査では、もはや領域横断ということがそれほど意味をなさず、「場」というものが、そして「今」、ここ「東京」で行われる意義を問うことになった。大きな物語を共有できなくなった現在、東京の「この場」で展開される選出された企画が、その問いに応えるものとなることを期待しています。

黒田みのり
[トーキョーワンダーサイト事業課長]



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オープンサイト2016-2017
アートの領域横断化がますます加速し、既存のジャンルの持つ意味が改めて問い直されている現在。観る人にも、表現する人にもオープンでクリエイティブな創造の場(=サイト)の創出を目指した新しいプログラムが始まりました。国内外から様々なバックグラウンドを持つアーティストが集まります!

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プロジェクトA 
(パフォーマンス系)

OS_banner_G_mini.jpg会 期:2016年10月21日~2017年3月26日
会 場:TWS本郷
公演数:12企画33公演/上映

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プロジェクトB (展覧会系)
OS_banner_H_mini.jpg会 期:Part 1: 2016年10月15日~11月13日
      Part 2: 2016年11月26日~12月25日
      Part 3: 2017年1月14日~2月12日
      Part 4: 2017年2月25日~3月26日
会 場:TWS本郷
企画数:8企画(各会期2企画)

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