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2015年08月01日

TEF Vol.10公募プログラム(パフォーマンス/サウンド・インスタレーション)審査員による講評



実験性を目指す芸術にとって大事なことは、次の時代を切り拓くコンセプトや意志と、それを支え具体化する技術を確立することであろう。そこに求められているのは、分業化された環境の中に安住するのではない。そこからいかに踏み出し、次なる時代意識や社会性を創造しうるのか、ということであり、今回、感覚的に優れた応募者が少なくなかっただけに、期待したいのは、変革に挑戦する存在感に富んだ、より多くのパフォーマーの出現であろう。

一柳 慧
[作曲家/ピアニスト]



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今回で10回目を数えるTEFでは、さらに応募作品のジャンル無視状態が進み、私個人としては、審査において「音楽/音」といった、このフェスティバルの出発点からどれだけ遠くはなれてきたかを、より意識させられることになった。それゆえに審査基準を定めにくい、むずかしいものではあった。特にパフォーマンス部門のノンジャンル性は、ぜひ公演にて確認してほしい。インスタレーションのアイデアも、けして「傾向と対策」的なものに陥ることなく、毎年ヴァラエティに富んだ応募作品に出会っている。そして、それらがフェスティバル自体の特異性を際立たせてもいるということも感じた。

畠中 実
[NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]主任学芸員]



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例年に比べて突飛なアイデアは少なかったものの、きちんとしたスキルを感じさせる応募が多かった。スキルは慣習や伝統と直結しているわけだからその取扱いには十分に注意しなければならないが、一定のスキルとフレッシュな思考が結びついたときに、真に「エクスペリメンタル」な場が立ち上がるはずだ。TEF Vol.10のステージでそれを確かめたい。

沼野雄司
[音楽学者/桐朋学園大学教授]



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21世紀に入ってから15年が経ち、本格的に新世紀に入ったことを感じる。20世紀であれば、音楽のモダニスト的革新が始まり、ジャズの登場とレコード技術が音楽聴取の形式を変容させた時期だ。今回選ばれたプログラムはどれも新世紀初頭固有の過渡的な試みの作品である。特にインスタレーション部門で「聴く」という行為自体を問題化した作品が多かったことが印象に残った。この一群の音を聴くことによって、21世紀の音楽を占ってほしい。

毛利嘉孝
[社会学者/東京藝術大学准教授]



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日々発達し、誰にも開かれたデジタル技術と、既視感のない新鮮ささえも、日々、消費される膨大な情報として埋没してしまう現在。10回目となる今回の審査では、敢えて分野を特定せず「実験的な要素」をもつことを審査基準として持つTEFの枠組みが問われ続けました。そして、それぞれの作品に実験的な要素と次へ継続してゆく射程の広さがあるのかを如何に精査するのか。それらの問いの答えとなる実演で更なる表現の広がりを期待します。

黒田みのり
[トーキョーワンダーサイト事業課長]



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トーキョー・エクスペリメンタル・フェスティバルVol.10

音楽やサウンドをテーマとした実験的な公演・展示を一挙に紹介するトーキョー・エクスペリメンタル・フェスティバル(TEF)は、今年で10回目を迎えます。今回も日本国内はもとより、アジアやヨーロッパなど海外から集まった気鋭のアーティストによるパフォーマンスとサウンド・インスタレーションを約3ヶ月にわたって開催します。

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TEFパフォーマンス

TEF10_banner_P.jpg会 期:2015年11月27日~2016年2月6日
会 場:TWS本郷、両国門天ホール
公演数:15企画24公演

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TEFサウンド・インスタレーション
TEF10_banner_SI.jpg会 期:①2015年11月21日~12月20日
     ②2016年1月9日~2月7日
会 場:TWS本郷
                  企画数:4企画(各会期2企画)

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