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2014年11月26日

[二国間台北]派遣クリエーター下平千夏 個展開催

平成26年度二国間交流事業プログラム<台北>派遣クリエーターとしてTresure Hill Artist Villageに滞在中の下平千夏が個展"smell the frontier"を開催いたします。

会場:Treasure Hill Artist Village "Frontier"(台北)
会期:平成26年12月6日(土)~12月31日(水)※月曜休館
時間:11:00a.m.~6:00p.m.
オープニング・スペシャル・イベント:12月5日(金)7:20p.m. with Sybille Neumeyer(ドイツ)

ここにいると、私達が普段生活している環境には、規定や基準、水平や垂直が当たり前のように用意されていることに気付かされます。
この場所を作った人達は生きるためにここに自ら住処をつくり、生き抜くためにコミュニティを形成しました。
歴史が幾重にも重なり、それらを背負ったトレジャーヒルは、都市の喧騒を背に少し居心地の悪そうに今もゆっくりと時間を繋いでいます。
私は「frontier(辺境、境界、極限)」と名付けられた場所で、新たな風景を作ります。
"水糸"という、基準線を仮に導きだすために使われる素材によって、歪んだ時間の境界と様々な位相の交差を感じる空間を構築します。

「frontier(邊境廣場)」は、山腹に位置するトレジャーヒ ル(宝蔵巌)の村の一番奥に在ります。
約120年前、日本軍がこの山(小観音山)から奇麗な水が湧き出ていることを発見しました。
巨大なタンクを山頂に作り、その水を守るために要塞を築いたのが、この土地の開拓の始まりです。
大戦が終結し日本軍が撤退した後、軍事的にも重要な拠点として使用されました。
その後厳戒態勢が解かれ、後に残された退役軍人達は自ら石を運びレンガを積みあげ、家々が立ち並びました。
そして彼らが積み上げた家々は部分的に解体され、一部が残されました。
frontierにたたずむ廃墟は、床だけが残った場所、屋根がなくなった空間など、玄関や壁の一部が壊れ、窓が不気味にこちらを覗いています。
建築としての機能はおろか、人々が住んでいた気配すら消 え、一体その場所が何を示し、何を伝えるのか。
暴力的に晒されたこの空間に、"水糸"という基準を示す線を用いて、別の視点からこの空間を見つめるための装置として作品を設置します。
今もなお市民に水を供給しつづける山と深く結びついたこの土地で、水にまつわる素材を使用し、空間を再構成します。

※水糸について
水平を出す行為を日本では"水出し"、"水盛り"と言います。
水は、どこに置かれてもそこに水平をつくり出します。
コップに注がれた水も、鉢に溜まった水も、道路の凹凸に残る雨水も、それらは水平線の延長上にあります。
遥か昔から人は建築する時にはその原理を利用して水平を出し、基準線を出してきました。
水糸は、その"水だし"を行う時に仮に基準を出す 時などに使います。

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