2007年度展覧会公募審査を終えて
家村佳代子(トーキョーワンダーサイト プログラムディレクター)
開館以来、トーキョーワンダーサイト(TWS)は、東京都が実施するワンダーウォールを入り口に、本郷で行われるTWS-Emerging展、渋谷におけるTEAM展、そしてTWS青山クリエイター・イン・レジデンスのオープンにより、様々な国々の機関と提携して若手アーティストをレジデンスプログラムに派遣する等、段階的な若手アーティストへの支援育成を行ってきました。また、昨年度より展覧会を企画する者の支援育成を目的として、展覧会企画公募をスタートしました。本年は、その第2回目で、7月に書類による一次審査及びインタヴューによる二次審査が行われました。
本年度は、応募の傾向が大きく二つに分かれました。一つは、将来又は現在、企画者(キュレーター)である方々からの応募、もう一つはアーティスト自身による本人を含むグループ展の応募です。後者の数が圧倒的に多く、また、その内容は、既成のジャンルにカテゴライズできない新しいアートを試みるものでした。応募にあたって、この公募の目的が展覧会の企画者の育成を目的としているため、基本的には、アーティストが自身のための個展企画を提案する機会ではないことを示しています。審査の段階では、アーティストがセルフプロデュースするグループのための企画をどのように考えるかについて話されました。
TWSとしては、応募要項に対象者を若手キュレーターと明記していません。それは、展覧会を企画する者は、必ずしもキュレーターとは限らないと思っていたからです。キャリアを積む前の若い展覧会を企画する者は、いわゆるキュレーターといわれる職の枠におさまらないで活動し、将来も展覧会企画者=キュレーターとは考えていない、認識していないとも思われたからです。
また、審査の過程で、既成のジャンルではカテゴライズされない新しい試みを展覧会として発表する場所及びその様な試みが支援される機会がほとんどないため、TWSがこのような新しい試みの企画を支援して行くことは、大変意義があるという意見を受け、来年度からの応募をキュレーター枠(若手キュレーター又は、それを志す者)と新しい試みを行うアート企画枠の二種類に分けて公募するという方向で進めようと思います。
本年度は、そこへ向けてということで@にあたるものとして、高田彩さんのノーマディック展〜シェイン・イーマンと仲間たち展の企画を、AとしてNATALIJA RIBOVICさん・藤田央さんの「OCTO_HASI BALKAN PICNIC たこうさぎバルカンピクニック」と、寺澤伸彦さんの「DIG&BURYのオダユウジ」が選ばれました。高田さんの企画は、新たなアートの領域を広げる試みで興味深く、また、低予算の中でカタログ含めできるだけのことを実現することが考えられていて高く評価されました。NATALIJAさん・藤田さんの企画は、アーティストからの提案の中では、企画意図が明快であり、さらにその企画を様々な地とネットワーク化していく、今後の広がりを持った展開が期待されるものです。寺澤さんの企画は、旅へ向かう中、実際どのようなことが起こって行くか予想がつかない面白さと、体当たりで実感されたことが、展覧会場でどの様に表されるのか未知数ですが、期待されます。今後もTWSでは様々な方々との対話の中で新しい試みを支援していきたいと考えています。