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エキジビジョン

大和田 俊「Paleo-Pacific」

 -TEF Vol.10 サウンド・インスタレーション 第2期<推奨プログラム>

  • 会 期:
    2016年01月09日(土) - 2016年02月07日(日)
    休館日:
    1/12・18・25、2/1
    時 間:
    11:00 - 19:00
    入場料:
    無料
    主 催:
    公益財団法人東京都歴史文化財団トーキョーワンダーサイト
    会 場:
    トーキョーワンダーサイト本郷
    アーティスト:
    大和田 俊


SI3_1b.jpg本作品は、フズリナ(ペルム紀の海洋に繁栄したが史上最大の大量絶滅で滅んだ)化石を素材としている。太古の海洋に生息したフズリナは知覚不能とも言える、長い年月を経て石灰岩化し、山になった。このような生物-物質間の非連続な隔たりに関心を持っている。この素材から取り出される音は、隔たりを保存しているのだろうか。そうであるならば、その音の聴取は、隔たりの知覚と言えるだろうか。

Photo: Ryohei Tomita






大和田俊さんへのインタビューを掲載しました!


【アーティスト・イベント】

大和田 俊 アーティスト・トーク
ゲスト:高橋智子(音楽学研究) ほか予定
2016年2月6日(土) 14:00~15:30
会場:トーキョーワンダーサイト本郷
入場無料/予約不要

ICCでの展示など、近年注目を集める大和田。本展での展示作品が提示する、音の発生原理、音の「アタック」についての問い―音を発するとはどういうことなのか、またサウンドアートの可能性について、専門家を交えたディスカッションを通じて考えます。

※日時、イベント内容は変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
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≪オープニング・トーク/レセプション≫
2016年1月9日(土) 15:00~16:30 (入場無料/予約不要)
公募プログラム審査員と出展作家によるトークを行います。お気軽にご来場ください!
【ゲスト】
畠中 実(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]主任学芸員)
沼野雄司(音楽学者/桐朋学園大学教授)
毛利嘉孝(社会学者/東京藝術大学准教授)


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Photo: Ryohei Tomita

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【Profile】
大和田 俊|1985年、栃木県生まれ。サウンドアーティスト。音響と、生物としてのヒトの身体や知覚、環境との関わりに関心を持ちながら、電子音響作品やインスタレーションの制作を行っている。東京藝術大学音楽学部卒業、同大学院美術研究科修了。主な展示に「Tokyo Experimental Festival Vol.9」(トーキョーワンダーサイト本郷、東京、2014)など。同展示で最優秀賞を受賞。

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【Interview】

大和田 俊
昨年のTEF Vol.9にて最優秀賞を受賞。今回は、受賞作「dissolution」を発展させた「Paleo-Pacific」を展示する。

― 石灰石に含まれた化石が発する"2億5000万年前の音"を聴くアイデアが生まれた経緯を教えていただけますか?

SI3_int1.jpg幼い頃から化石には興味があったのですが、「 dissolution」を制作する前は、それと音を直接結びつけることはありませんでした。また、大学では電子音響音楽を学んでいたこともあり、デジタルデータにおいて、音が再生される前の状態と、再生されている状態の間にある境界というものを意識するようになりました。単にメディアの問題としてだけではなく、もっと生々しい、たとえば死んでいるモノが生き返るとか、そのような意味での再生。不変だと思える状態が、不連続に変わってしまう瞬間があるのではないかと。この感覚が化石への興味に結びついたのですが、それだけではプランは成立せず、かねてより考えていた音と空気への興味と結びつけました。〈音=空気の振動〉、つまり空気がなければ音を知覚することができないという事実を〈空気へのアクセス権〉と考えました。コンピューターにアクセス権という概念があるのですが、音や音楽を空気への「アクセス」の問題として捉えるならば、その空気の組成を変更するという操作は、たとえそれが実際に音を発生させなかったとしても、音楽の基礎論的な部分と言えるのではないかと考えました。いくつかの方法をリサーチした結果、化石を含む石灰岩を使って二酸化炭素を発生させることに繋がり、化石、再生、空気というそれぞれのキーワードが結びついて「dissolution」のプランが出来上がりました。

― 大和田さんにとって「音」とはどういった存在なのでしょうか?

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音の発生する発音源と、感覚器官としての耳は、空気の存在によって偶然、結び付けられているのではないかと思っています。また、聴覚という感覚の歴史に興味を持っているのですが、耳という器官の存在さえも、私たちが進化の過程で偶然に獲得しただけであって、他の生物種にとって自明のものではない。偶然とすらいえるかわからないたまたまな関係性で成り立っているもの、その関係そのものが僕にとっての音だと考えています。

― では、その「音」を展示する、という表現についてどのように考えていますか?

コンピューターを用いた電子音響音楽のライブパフォーマンスも行っていますが、その活動の「基礎」と言いうるような状況を作ることがインスタレーションだと考えています。 音が発生するという現象を考察し、その条件をその都度探し出し、構成することで、今までこの世に存在しなかった音響状態を作り出したい。それがインスタレーションを行うモチベーションになっています。電子音響音楽を作るなかで考えたことが、インスタレーションに反映することもありますし、その逆もあります。私にとって、このインスタレーション作家とプレーヤーとの往復がとても重要だと考えています。

― 今回の作品の聞きどころ、見どころを教えてください。

SI3_int3.jpgたとえば私がコンピューターで音を作る場合、コンピューターでプログラミングをして、コードを作成し、それがファイルになって、音が生成される、という過程を踏むわけですが、その不連続性と隔たりにとても興味があります。幼い頃、映画のフィルムの原理を知った時、コマとコマの間には何があるのか?と疑問を持つと同時に、どうして世界は連続的に見えているのか?と考えるようになりました。この化石はただの石ころのように見えますが、生物が石になってしまうという隔たりを越えてここにあるのだと思います。わたしたちにはその不連続性を知覚する感覚器がないから、たまたま連続と感じる。まったく同じ理由で、たまたま自分の耳が不連続な音の世界を感じることができないから、そう聞こえない。その不連続性や隔たりというものを表現したいと思っています。

(Photo: Ryohei Tomita / Tokyo Wonder Site)
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