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TWS-Emerging 188/189/190/191

188 長谷川義朗(オル太) [刺し身処 五右衛門] / 189 村上佳苗 [うみやまのあいだ] / 190 齋藤春佳 [思い出せる光景と思い出せない光景を見た地球から見える星も見えない星も公転しあっている、地球含め] / 191 福山竜助 [薄明かりの風景]

  • 会 期:
    2012年08月04日(土) - 2012年08月26日(日)
    休館日:
    8/6・13・20
    時 間:
    11:00 - 19:00
    入場料:
    無料
    主 催:
    公益財団法人東京都歴史文化財団 トーキョーワンダーサイト
    会 場:
    トーキョーワンダーサイト本郷
    アーティスト:
    長谷川義朗(オル太)、村上佳苗、齋藤春佳、福山竜助

TWS-Emergingは、トーキョーワンダーウォール(TWW)の入選者100名の中から希望者を募り、審査を経た後、TWS本郷にて個展を行う企画です。本年度は、5月から8月までの4ヶ月間を通して各4名、総勢16名の若手アーティストを個展形式でご紹介いたします。
8月は、2012年度第4回目のTWS-Emerging。長谷川義朗(オル太)・村上佳苗・齋藤春佳・福山竜助をご紹介いたします。

■ 関連イベント: 

オープニングイベント  日時:8月4日(土)  ※終了しました

15:30~17:00 アーティスト・トーク 
ゲスト:蔵屋美香氏(東京国立近代美術館美術課長

17:00~19:00 交流会

■作家在廊日:

齋藤春佳 8月18日(土)午後、19日(日)終日、26日(日)終日
※最新情報はTWSのSNSで公開!


 

長谷川義朗の表現の根源にあるのは、故郷である福井県小浜市の美しい風景や、地産地消のサイクルです。特に影響が強かったのが、彼の親戚が経営する海鮮屋。地元の沖合で魚を追い続ける漁師たちと、彼らの手腕と自然の恵みに敬意と感謝をもって、捕れたての鮮魚を仕入れ、振舞う海鮮丼屋の主人の存在。
2011年の東日本大震災は、甚大な被害を東北地方にもたらしただけではなく、国内で最多の原子炉数を保有する福井県・そして(大飯原発至近でありながら、原子炉保有自治体ではないがゆえに複雑な問題を多く抱える)小浜市をも大きく揺さぶりました。
長谷川は、(現在の活動拠点である)東京・小浜の往復を繰返す身だからこそ見出せる故郷の魅力や複雑な問題があるといいます。彼は小浜をとおして生活や人の営みの「ゆたかさ」について考えながら「住んでいる場所で何を感じて発信するかを大事」として、東京で小浜の「刺し身処五右衛門」を展開する事にしました。絵を描く、脱原発を唱える、地元で魚を捕る、地元で捕れた魚を売る、地元を紹介する...何らつながりの見えない断片的な事柄かもしれませんが、その断片的なものを通して、物事の善悪や二項対立の判断ではなく、日常に潜む人々の語られぬ思惑を表現したい、といいます。今回、TWS本郷に構える「刺し身処五右衛門」では、小浜の夏・秋冬を表現した大漁旗とともに(夏の大漁旗は、実際に小浜市にある店の前でつい最近まで来客を迎え入れていた。)、小浜の豊漁を祈願する巨大な熊手を展示します。

村上佳苗が見つめ描くものも、長谷川同様、自身の故郷です。
愛媛県の瀬戸内海群島の小さな島で生まれ育った村上が意識する世界は、スケール感に特徴があります。大きな大きな海と大きな大きな山に囲まれて、ハレとケの境界を往来する人間の営みは、小さく、どこか愛らしさをともなわせて描かれています。村上の言葉を借りるならば、「土地と共に生きる中での、私たちは個でありながらもなにかおおいなるものの一部であるという思い」(村上ステートメントより抜粋)というように、その土地にねざし、自然への畏怖の念をもって豊穣を祈願し、自然とともに生きていく意識が、彼女程当然に備わっている人間は、今、果たしてどれだけ存在し、その意識をもって生きているのでしょうか?
本展では、平面作品とともに、日常のハレとケをテーマに、彼女の地元で脈々と受け継がれている「ハレ」の舞台である神事をモチーフに制作された立体作品の展示や小部屋での展示も行います。

齋藤春佳は、記憶や物事の距離感に注視するひとりです。
本展では記憶と星をモチーフにインスタレーションが展開されます。
思い出せる昔の光景と、もう思い出せなくなってしまったとおい昔の光景。見る主体から見えるものと、見えないもの。例えば夜空に輝く星も、地球からそれぞれの星までの距離が異なろうと、ひいてはその星が今はもう消滅していようと、過去に発せられた光が一同に「地球から見る夜空」というひとつの中に見る事が可能です。
刻々と過ぎていく時間に私たちは抗う事が出来ず、その中でつながりを持っては、はかなく消えてしまう存在です。齋藤は、ロール紙に、ひたすらに思い浮かべる事の出来た思い出の数々を描き留めまわっていく作品を展示します。この≪思い出せる光景と思い出せない光景を見た地球から見える星も見えない星も公転しあっている、地球含め≫という長いタイトルをもつ作品は、裏面にもご注目頂きたい一品です。油性ペンで描かれた記憶の裏側に現れるドットの数々がまるで星座のようにつながっていくことでしょう。祖父のピアノ教師をしていた様子を遺したテープを素材とした音を用いたインスタレーションもともなわせてご覧ください。

福山竜助による [The scenery in dim light]は、「薄明かりの風景」を意味します。夜明け前の暗闇から光が差し込み次第に明るく視野が開けていくような、光と影が溶け込み、人も動物も植物も互いの境界を越えていくマジック・タイムをひたすらに描き、満たされた空間がたち現れます。マットな黒いアブストラクトな描画部分からは、鳥や植物の葉が連想されるような、ユニークなフォルムをお楽しみ頂けることでしょう。光と闇から紡ぎだされる神話や物語を思い出してみたり、想像してみてはいかがでしょうか。

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長谷川義朗(オル太)≪大漁旗、豊漁を願う熊手(イメージ)≫2011、テント地、ペンキ、ミクストメディア

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村上佳苗≪昔話≫2011、カンヴァス、油彩

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齋藤春佳≪思い出せる光景と思い出せない光景を見た地球から見える星も見えない星も公転しあっている、地球含め≫2012、紙、ペン

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福山竜助≪無題≫2011、紙、油彩

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