077 恵木亮太 「NEVER MIND THE BIRDS AND DOGS」/078 後藤靖香 「ダイゲンキデス」
「1本の線を引く触感は生きている感触そのままである」と話す恵木亮太の画面は平坦に塗りつぶされることはなく、鉛筆やクレヨンで一本一本の線が刻まれるように描かれます。また、絵のモチーフは、彼が住む東京近郊の、まだイノシシや鹿などが出没する自然の中での生活で出会った生きものたちです。その生きものたちに一本一本、生の感触がふきこまれていきます。
後藤靖香は自分にとってのヒーローを描き続けてきました。それは時には、幼い頃に読んだマンガのヒーローでもありました。しかし今は、祖母が語る戦争で餓死した祖母の兄が彼女のヒーローです。偉大なことを成し遂げた英雄ではありません。現代とは異なる戦下の中、つましい中にも懸命に生きていた血縁に思いを馳せます。それは物と情報が溢れる現代の日常の中で、喜びを感じることが難しくなってしまった私たちにとって、遠くなってしまった"生きる"という感覚・元気を呼び起こしてくれます。
これら2名の若いアーティストがそれぞれに表現する現代の感性と空気をぜひご体感ください。
恵木亮太 「U・F・O」 2007
後藤靖香 「栗ごはん」 2006